ペーパーハウス製作陣による待望の新シリーズ『ビリオネアズ・シェルター』。ネタバレなし・ネタバレありで感想を綴ります！まだ観ていない方はネタバレなしをご覧くださいね！
あらすじ
主人公のマックスは初恋の相手でもあり恋人のアンネとドライブへ出かける。しかしお酒に酔った2人はマックスの運転する車で事故を起こす。マックスは助かるもアンネは死亡しマックスは過失致死罪により刑務所へ。そして3年後マックスは出所するとそこには父フェルが迎えに来ていた。フェルはマックスに「世界規模の戦争が起きておりこのままじゃ命が危ない」とマックスを地下シェルターへと連れていく。そのシェルターは大金を払った富裕層のみが入れる安全が確保された唯一の場所とのこと。シェルターの運営責任者ミネルヴァを筆頭に大勢のスタッフが富裕層たちをもてなすのであった。
そしてマックスはかつての恋人アンネの家族と再会する。アンネの父ギレルモはマックスに対しアンネのことを許していると言葉をかけるも妹のアシアは姉を失った悲しみで心に深い傷を負っておりマックスを責め立てる。この2家族の確執と隠された秘密、シェルターの運営陣を中心に物語は進んでいく。
登場人物
◯マックス・ヴァレーラ
恋人のアンネを事故により失い過失致死罪で刑務所へ3年間服役する。
◯アシア・ファルコン
アンネの妹。姉を失った悲しみからマックスのことを恨んでいる。
◯ギレルモ・ファルコン
アンネとアシアの父。マックスのことを許しているようだがその裏には隠された顔があった。
◯ミミ・ファルコン
ギレルモの再婚相手。
◯ラファ・ヴァレーラ
マックスの父。
◯フリーダ・ヴァレーラ
マックスの母。
◯オリヴィア
マックスの祖母でフリーダの母。
◯マルタ
ギレルモの元妻。(作中には登場なし)
◯ミネルヴァ
地下シェルターの運営責任者。
感想(ネタバレなし)
第1話にして物語の見方がガラリと変わるとんでも事実が発覚します。ペーパーハウスの製作陣による作品なだけあって何かと共通する設定やシチュエーションでペーパーハウスを彷彿とさせる“何か”を感じます。例えばシェルタースタッフはオレンジのつなぎで富裕層たちは青のつなぎで衣装が分かれています。ペーパーハウスの赤いつなぎを思い出しますよね！そしてペーパーハウスでもあった強盗vs警察のハラハラドキドキの心理戦のような攻防をオマージュしたような展開も繰り広げられ、ゲーム性のある物語にも注目です。
そして回を重ねるごとに登場人物それぞれの秘密や嘘があらわになります。ドロドロとした複雑な人間模様がまるで昼ドラのような、もしくはそれ以上。この2つの家族の関係性やシェルターの責任者ミネルヴァやその取り巻きの秘密など見どころ満載です。一言で言うならば「嘘」。とにかく嘘だらけで結構ぶっ飛んでます。そのいくつかの嘘の真実がわかった時「うわー…」と控えめにドン引きすること間違いなし。全8話ですがすごく中途半端に終わったのでおそらくシーズン2があるのではないかと思います。なんせペーパーハウスがシーズン5まであるので個人的には長編を期待したいです！
ここからはネタバレ注意
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解説(ネタバレあり)
実はこの地下シェルターは外からの爆撃を守るための安全な場所、というのは全くの嘘でミネルヴァの計画により作られた富裕層から資金を強奪するための監禁部屋のようなもの。ミネルヴァはこの富裕層たちから理由をつけて携帯や持ち物を回収し外との通信を完全に遮断。最先端のAI「ロクサン」を使って富裕層たちを監視・盗聴し彼らを常に見張っていた。世界規模の紛争もミネルヴァたちがでっち上げた嘘で富裕層たちはそれを信じ込み外の世界には出ることができないと洗脳していた。
そしてシェルター内で生活するマイクとアシアの家族の隠された秘密が次々と明らかになっていく。マイクはこのシェルターがまるで刑務所のように感じ不審に思い施設内をこっそり調べ始める。そんな時ギレルモの妻ミミが突然倒れ医大生であるアシアが診察をするが肝性脳症と判明。すぐに透析器が必要になるも施設内には設置されておらず投薬で症状を抑えるしかなく透析治療を行わなければ48時間で死亡してしまう状態になっていた。この状況を知ったマックスは外に出て近くの病院から透析器を持ってくるために脱出計画を立てる。すると外へと繋がる非常階段を見つけアシアに協力を求める。
しかしミミはマックスの祖母オリヴィアにモルヒネとタバコ、酒を飲ませハイの状態にさせられそのまま死亡してしまう。ミミのために計画を進めるはずだったがそのままアシアと計画を続行。そんな中ミネルヴァたちは第一のターゲットであるギレルモの会社から資金を奪うことに成功するもマックスとアシアによりロクサンの妨害や騒動によりシェルター内は混乱し非常事態に。本来はミミのためだったがマックスは外が紛争地帯でもそうでなくても自分のためにこのまま外に出ることを決める。必ずアシアを迎えに行くとアシアに伝える。マックスは追手が来る中なんとか脱出の扉を開くことに成功。しかしマックスの目に映るのは死の灰でもなく眩しい光がふりそそいだ。
以下、登場人物それぞれについて詳しくまとめました↓
ミネルヴァの目的と過去
子どもの頃ミネルヴァと弟シロは母親に捨てられ孤児院に連れていかれる。シロには行動障害がありふたりは変人扱いされどの里親とも合わず問題児扱いをされていた。そんな社会ののけものという立場を脱するためふたりは死ぬ気で勉強しシロは3つの学位、ミネルヴァは2つの学位を取得する。そして建築会社で働くミネルヴァは利益が10億ほどの大規模なプロジェクトをこなすも自身の給料はほんのわずか。そうして家賃を払い続ける毎日に嫌気がさし弟と数名の仲間を集めこの富裕層たちから莫大な資金を奪おうと計画を立てた。ちなみに同性愛者。
■最初のターゲット
シーズン1でまずターゲットとなるのがギレルモ。彼の資産は500億で生まれながらの大富豪。複数のビジネスを展開。ギレルモの右腕オスバルドからギレルモの携帯へ電話が入る。大規模なビジネスの話が舞い込んだため何度も電話をかけてくる。ミネルヴァたちはシロが作ったギレルモのクローンを使いビデオ通話でどうにか騙す。そして架空のスタートアップ企業を作り9億ドルで買い取らせることに成功するもオスバルドは詐欺にあったと気づく。急いで警察に通報しようとするオスバルドをミネルヴァの部下が駆けつけ殺害した。
マックスについて
アンネの事を本気で愛していた。事故の件で父ラファはマックスを守るため事故を隠蔽しようとしていが裁判でラファに真実を証言され刑務所送りにされたことで裏切られたと思いラファのことを恨んでいた。しかし実際はギレルモからマックスを守るため真実を証言したことを知りラファとの信頼を取り戻しつつある。
■シェルターの秘密に気づく
マックスはシェルターに違和感を感じ独自で施設内を調べる。監視・盗聴されていることに気づき非常階段を見つけ脱出する計画を立てる。アシアの協力を得て脱出することに成功する。
アシアについて
姉を奪ったマックスを酷く憎んでいたが実は昔からマックスのことが好きだった。マックスに協力して脱出計画を進めていく。
ギレルモの秘密
マックスと再会した時表面上は許している態度をとっていたが実は娘を失った怒りと憎しみでマックスを恨んでいた。そして当時の妻マルタはアンネを失った悲しみから自殺しておりマックスから娘と妻を奪われたとマックスを責める。そしてかなりの浮気症。
■ミミとの関係
ミミは元々ギレルモの愛人。マルタを失った悲しみから孤独を感じある意味勢いでミミと再婚する。しかしミミとは孤独同士が共生しているだけの関係だとミミを突き放す。ミミが妻という立場よりも不倫相手という立場の方が燃えるとのことでなかなかのクズっぷりを発揮する。
■フリーダとの関係
実はマックスの母であるフリーダとは28年も不倫関係だった。フリーダにこの関係を公にしたいと言われるも拒否。フリーダの怒りを買うことになる。
■ラファとの関係
ラファのことを友人として大切に思っている。しかしラファはマックスを無罪にするためアンネの事故を隠蔽しようとしていた。その事実を知ったギレルモは正義のために証言しろ、さもないとマックスを殺すとラファを脅しマックスを刑務所送りにするための証言をさせていた。
■マルタとの関係
マルタが自殺する直前にマルタとラファの通話記録を見つける。ラファに何を話したかと問うとラファは「アンネの件であなたたちを憎んでない」と言われたと証言した。
ラファの秘密
マックスとアンネの事故を隠蔽するため事故現場からマックスを逃していた。飲酒を隠すため3日ほど隠れさせ、警察にはパニックになり気が動転していたためその場から離れてしまった、というシナリオを作りあげようとしマックスが無罪になるよう仕向けていた。
■ギレルモとの関係
この事故の真実を打ち明けるとギレルモは激昂。正義を取れ、さもなくばマックスを殺すと脅し裁判で真実を話しマックスを刑務所送りにさせた。
■フリーダとの関係
妻であるフリーダに愛していなかった、と離婚を突きつけられる。
■マルタとの関係
マルタ自殺直前の電話でギレルモには「アンネの件であなたたちを憎んでない」と言われたと証言するも実は嘘で本当は不倫を知ったマルタに「ギレルモの今の愛人はこれまでの愛人たちとは違う。ミミのことを本当に愛している。」とマルタに伝え自殺へと追い込んでいた。
フリーダの秘密
ラファのことは愛しておらず、28年もギレルモの愛人だった。マックスに自分は子育てよりも恋愛が向いていると言い放ちマックスからの信頼を失う。
ミミについて
ギレルモの元愛人で現妻。ギレルモのことを愛しているがギレルモに言われた心無い言葉に傷つき悲しみに暮れる。のちに倒れ肝性脳症だと判明し透析治療が必要となる。しかし透析器はなく投薬で症状を抑えていたがマックスの祖母オリヴィアのせいで亡くなってしまう。
オリヴィアについて
末期癌。病気のミミを労ろうと自分のモルヒネを付き添いの看護師アントニオに打たせる。さらに酒とタバコもミミに飲ませてハイの状態にし、その結果透析治療を受ける間もなく死亡させてしまう。ちなみに同性愛者。
感想(ネタバレあり)
てことでこの2つの家族とシェルター側の人間をメインに物語は進んでいくんですけど、結構ねクズな奴ら多くて度肝抜かれます。ミネルヴァたちが完全にペーパーハウスでいう強盗側ですよね。A Iを使ってうまくオスバルドを誘導していく様もハラハラドキドキで面白い。かなり大掛かりな仕掛けだったり最後は躊躇なく殺すあたりも潔すぎてちょっとびっくり。
そんでもってギレルモとフリーダのクズっぷりがやばい！人の心はあるんかこいつら。まあ一言でまとめるならば制欲モンスターなんだなってことで丸くおさまると思います。マックスは最終的に家族に対する信頼を失って絶望するんですよね。家族を捨ててでも外に出る、そんな思いで脱出を決意したのでしょう。アシアも最終的にはマックスにゾッコンで1話の冷徹なアシアはどこに行った？と疑いたくなるような変わり様がなんだか猫っぽくて可愛くも見えてくる。
シーズン1はマックスが外に出る瞬間で終わるので続編はおそらくマックスが外でどう動くのか、そしてシェルターに残ったアシアを中心にマックスとアシアが今後どうなっていくのか並行して物語が進んでいきそうですね。あとはミネルヴァたちはさらに詐欺を働くのかってところですかね。続編を期待し気長に待ちましょう！
終わりに
というわけで今回はビリオネアズ・シェルターの感想と解説でした。いつもはおすすめ作品をババーっと紹介しているんですけどたまにはひとつの作品を詳しく書くのもいいのかなーと思い今回初めて書いてみました！今後もレビューがてらぼちぼち書いていこうかなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう！
